他人名義のクレジットカードを使い、名古屋市内の百貨店から総額約1億円相当の高級腕時計十数本をだまし取ったとして、愛知県警は26日にも、フィリピン国籍の女(46)=三重県四日市市=を詐欺の疑いで再逮捕する方針を固めた。女は同じ百貨店で高級腕時計3本(計約750万円相当)をだまし取ったとして詐欺容疑で今月5日、県警に逮捕されていた。
県警への取材で判明した。女は調べに対し「カードは友人から受け取った。他人のカードを使ってはいけないと知らなかった」などと話しているという。
捜査関係者によると、女は名古屋市中区の百貨店で昨年11月、他人名義のクレジットカードを使い、ロレックスなどの高級腕時計十数本をだまし取った疑いが持たれている。総額約1億円相当といい、カードはフィリピンのカード会社が発行したものだったという。
女はカードで支払いの際、オンラインでの信用照会ができない「インプリンター」という機器を使った「インプリ決済」を要求。その後、「カード会社につながっている」と言って自分の携帯電話を店員に渡し、通話相手が店員に承認番号を伝えていたという。
県警は電話は実際にはカード会社につながっていなかったとみている。女はブランド品で身を包み、国際弁護士を名乗り英語で話していたという。
代金が入金されないことから、店側が県警に相談して発覚した。県警は女が時計を転売するなどしていたとみて、再逮捕後に調べを進める。
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〈インプリ決済〉 日本クレジット協会によると、カード表面のカード番号などが記載された凹凸の文字を、ローラーで紙の伝票に写す決済方法。「インプリンター」と呼ばれる機器を使う。店側がカード会社に電話をかけて信用照会し、伝票をカード会社に送る。1970年代後半以降は通信技術の発展に伴い、オンラインでカード会社に信用照会できる機器が主流になっている。オンライン照会が出来ないときの予備として、現在もインプリンターを置く店もあるという。